オルタナティヴでいこう! ~告知ブログ
人は時に壁にぶつかる。でも、視点を変えれば、「想定外」の解決策が見つかるのさ!

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「社会起業家」を支援しよう!

 経済産業省は今春、ソーシャルビジネス(社会起業)の認知拡大策が必要だと発表した。

 昨年来、調査グループが調べた結果、日本人の約84%が社会起業について知らないという推計がなされたからだ。

http://www.meti.go.jp/press/20080403005/03_SB_kenkyukai.pdf
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=595208004&OBJ

 僕は数年前から「社会起業家」を取材し、昨年は東大(駒場)で学生自治会承認による自主ゼミの講師を請け負って社会起業家たちをゲストに招いたゼミを行ってきたし、その講義録をベースに今年6月11日に『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)という本を出版する。

 日本全国の若い社会起業家21団体を厳選して紹介する本だ。

 既に、昨年発売した『プライドワーク』(春秋社)でも、WWBジャパンの奥谷京子さんやコトバノアトリエの山本繁さんなどの社会起業家を紹介したが、新刊『社会起業家に学べ!』ではマザーハウスの山口絵理子さんやユナイテッドピープルの関根さん、ファザーリングジャパンの安藤さんなど、活動10年以下でまだ広報が必要と思われる若い団体を優先的に選んだ。

 そして、「社会起業家とは何か」に答えるために、彼らがどんな社会的ニーズに基づいて活動をしているのかに重点を置いた。

 端的に言えば、社会起業家は「社会問題をビジネスの方法論で解決する人」だ。

 その核心部分は、あくまでも「救済や支援を求める当事者の声」に応える形で活動するということにある。

 逆に、これが理解できていないまま「社会起業」を名乗っても、ひとりよがりの社会貢献になってしまう。

 ところが、大企業のCSR(企業の社会的責任)推進室のwebsiteを見ても、「救済や支援を求める当事者の声」という核心的なニーズに対する関心を欠いたまま、まるでおしきせの校則のようなきれいごとを並べて、あたかも社会に貢献しているかのような印象だけを維持しようという内容を堂々と掲示していることが珍しくない。

 まだ多くの企業は、他社と横並び程度にCSR推進室を設けておけば、社会起業と同様のバリューを感じさせると考えているようだ。

 しかし、本物の社会起業家は、「脱・常識」的な発想で世の中の仕組みそのものを変える「社会変革」を通じて、社会問題の解決に取り組んでいる。

 それは、これまでとはまったく異なる解決手法を開発することに他ならない。

 たとえば、企業にはふつう無給で働く人はいない。

 しかし、社会起業家の企業には無給でも働きたいと望む人たちが集まってくるし、社としても彼らを好意的に受け入れるほか、働きに応じてお金ではない利益(プロジェクト・リーダーとしての権限など)を与えることさえある。

 そうした従来企業との決定的な違いについて知っている人は、まだまだ少ない。

 なぜか。
 新聞、テレビ、雑誌などのマスメディアの企業ですら、10人に1人も社会起業家について知らないからだ。

 昨年秋から経済や社会を専門のテーマにした雑誌の編集部やテレビ番組ディレクターたちに会ってきたが、彼らですら「社会起業家」をほとんど知らなかった。

 たいていが、「社会貢献をする団体」という程度の認識しかなかった。

 核心部分である「救済や支援を求める当事者の声」が、政治や行政などの既存のシステムでは救済されないまま放置されている。

 だからこそ、社会起業家たちが今日の社会に切実に必要とされ、それゆえ増殖しているという世界の現況を知らずにいるのだ。

 こういう状況では、「社会貢献という観点で良いことをしているならばとりあえず報道しよう」という浅薄な取材に基づいた安易な報道が相次ぐことになる。

 その典型的な報道が、「自殺ZEROキャンペーン」である。
 これを手がけるポジメディアのオキタリュウイチ氏は、僕の友人だ。

 友人だと思うからこそ厳しい言い方をあえて書かなければならないと感じるし、彼の魂部分が純粋なのはよくわかっているがゆえに、支援される側の気持ちに配慮しないキャンペーンを続けることによる結果を恐れているのだ。

 なぜなら、彼は浅薄な取材ゆえに好意的に報道されたのを手放しに喜んでおり、そういう報道が増えれば増えるほどべつのメディアからは不当に批判されることだってあるのがマスメディアの世界だとわかっていないからだ。

 もちろん、これはオキタさんに対する僕の勝手な思い入れであって、彼自身がわが身の愚かしさを公に指摘されたくないだろうことも理解しているけれど、キャンペーンが公になればなるほど自殺志願者は置き去りにされるし、それを知らずにオキタさんと同様の間違いをしてしまう人が増えてほしくないから、これを書いている。

 昨今、硫化水素による自殺事件が相次いでいる。
 メディアは、そういうタイミングでは「自殺防止」という活動の報道をしたがる。
 しかし、タイミング良く報道するには、取材が浅薄になりがちだ。

 たとえば、下記のリンクを見ていただきたい。

http://keyrepo.amonya.com/m/v/WdAPeJb6gY4

 これは、昨年のTシャツによるキャンペーンをNHKが取材したものだ。

 mixiコミュ「自殺zeroキャンペーン」を見ればわかるが、このメッセージTシャツによる啓蒙活動に対して、自殺志願者の「当事者」たちがキャンペーン前からずっと「やめてほしい」という声を多数寄せている。

http://mixi.jp/view_community.pl?id=2123752
http://news.ameba.jp/2007/09/7254.php
http://createmedia2007.blog88.fc2.com/blog-entry-34.html

 自殺未遂者たちを10年以上も取材してきた僕も、このような「生きろ」というメッセージばかりが喧伝されれば、死にたい人をますます生きたくなくさせると感じる。

 要するに、「言葉一つで救われたら死にたくなんてなってねーよ!」という恨みがそこにはあるわけだ。

 これは、死にたいと望む当事者たちに十分なヒアリングを行ったうえで始められたアクションではないことは明白だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080513-00000015-maiall-sci
http://ikiteku.net/

 これは最近、毎日新聞に掲載された記事と、そこで紹介された「生きテク」サイトだ。

 記事では「重いうつ病」と書かれているが、僕はオキタさんが抗うつ剤を飲んでいるのを見たことがないし、精神科に通院していたなんて話も聞いたことがない。

 しかも、「生きテク」が月間10万PVもあるのに2000人程度しかサイトの記事で「死ぬを辞めた」人がいない現実は、わずか2%の効果しかないことになる。

 この記事を書いた真野森作・記者は、おそらくmixiコミュでの評判や、自殺未遂者と向き合う臨床心理士たちに取材をしていないのだろう。

 「硫化水素」が話題になっているうちに記事を仕上げてしまえば、どうせ自殺に関心を持っている人など少ないだろうから、「生きテク」や「Tシャツキャンペーン」が「救済や支援を求める当事者」にどんな効果を与えるかを検証しなくてもいいと考えたのだろうか?

 結果、事情を知る人が見れば、とても嫌な印象を持つ記事になってしまった。

http://www2.city.suginami.tokyo.jp/greetings/greetings.asp

 これは杉並区の区長・山田宏さんのブログだ。

 区長は「生きテク」の実際の効果も確かめないうちから、区のサイトからリンクを張ってしまっている。

 「生きテク」や「Tシャツキャンペーン」、そして毎日新聞や杉並区は、「人に良かれ」と思って始めたことだろう。

 だが、それが「救済や支援を求める当事者」である自殺志願者たちを置き去りにし、ますます死にたい気持ちを増幅させてしまったとしたら、メディアのCSR(企業の社会的責任)や行政の責任としては根本的なミスを犯したことにならないだろうか?

 良い活動が必ずしも良い結果を生むとは限らないのに、なんらリスクヘッジもリスクマネジメントも行わず、手放しでほめていいものだろうか?

 自殺志願者が嫌がる「Tシャツキャンペーン」や、98%が「死にたい気持ちが変わらない」という「生きテク」サイトを機に死にたくなる人が増えても、報道や区のせいではないと言い張れるだろうか?

 人を救える根拠もないところで社会実験をされたら、当事者たちにとってはいい迷惑だろうと思う。

 そもそもこの「自殺zeroキャンペーン」は、「一年半で自殺者3万5千人を4分の1にする」をミッションに掲げて始まったのに、「生きテク」ではサイトの記事を読んで死ぬのを辞めた人をカウントしている。

 2%の自殺志願者は、その時には自殺をふみとどまるかもしれない。
 しかし、それは気分の問題であり、翌日になれば、また気分は変わる。
 つまり、事実上、具体的なソルーションを与えたことにはならないのだ。

 本当に、「救済や支援を求める当事者」に向き合う覚悟があるなら、徹底的に自殺志願者たちや自殺未遂経験者たちに会って、ヒアリングすることが先決だ。

 そこで僕は昨年春に彼と初めて会ってから、自殺未遂経験者である月乃光司さん(「こわれものの祭典」主宰)のイベントにオキタさんを案内したが、彼は会場に居合わせた当事者たちに誰とも挨拶しないまま、帰ってしまった。

 それどころか、彼のまわりに集まった若い学生の一部からは、「今一生は金儲けのことばかり言う」との批判メールまで届いた(笑)。

 この学生は、社会起業家になるには、問題解決コストをペイするだけの事業やビジネスモデルが必要だという意味が根本的にわかってないのだからお話にならない。

 だが、そういう不勉強なスタッフの勇み足を許してしまうほど、オキタさんの周囲には、ちゃんと彼に社会起業を教えてあげたいと思う人が一人、また一人と去ってしまったのだ。

 せめて、当事者による当事者のためのイベントという点で、社会的価値が高い月乃光司さんの「ストップ!硫化水素自殺イベント」から学んでほしい(下記リンク)。

 それは、自死遺族を盾に「生きろ」と迫るライフリンクの方々も、月乃さんの活動から当事者性を学び、ちゃんと当事者の気持ちと向き合うことを覚えてほしいと思う。

 当事者性を分かち合うことこそ、社会起業家にとっての核心なのだから。
 それなしには、ひとりよがりな結果を導くだけだから。

http://www.youtube.com/watch?v=S2YtiFEuCvU
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014506431000.html
http://www.allneetnippon.jp/

 NPOコトバノアトリエの山本繁さんは、オキタさんと月乃さんの両方を支援しているが、「当事者の声」を忘れたアクションにひた走るオキタさんに月乃さんとの決定的な違いを教えてあげられるのは、もう山本さんくらいしかいないかもしれない。

 僕自身、自殺志願者一人一人と向き合うことで時間やお金を10年以上費やしてきたので、「支援する側の生活を保障できるだけのビジネスモデルをオキタさんが持ち得た時にこそ協力する」と言って彼らの活動から一時的に離れたのだが、本気で自殺予防により組んで成果を出すつもりなら、10年間は腰を据えてほしいと思う。

 覚悟は、そういう実績がないと計れないし、10年も自殺志願者たちと付き合っていけば、ひとりよがりの救済キャンペーンによって自殺してしまう人が出てくる事実に向き合わざるを得ない時も来るだろうから。

 一方、社会的効果を十分に考えない報道が珍しくないのは、今に始まったことではない。

 自殺予防に限らず、家出=不良=辞めさせるもの=家出人を帰宅させる文脈での取材、といったお決まりの企画先行型の安いコンテンツはよく見かける。

 家出やプチ家出をする10代には、信頼関係のない相手には自分が親から虐待を受けているという深刻な事情を話せなかったり、あるいは虐待されていることを認めたく無かったり、自覚したくなかったりする子どもも少なからずいる。

 しかし、当事者へ取材する前から企画を先行させるという仕事ぶりを常識的なものとして刷り込まれている多くのメディア関係者は、「どうせ家出や自殺なんて少数派だからクレームが来ても怖くない」と考える。

 これは、同性愛者や障害者、生活保護受給者などの少数派を取材した報道にもよく見られる安易な構えだ。

 要するに、社会的弱者に対する強いコンパッション(共感)によって取材するのではなく、プロデューサや編集長の納得する文脈が反映された番組や記事で仕事を終えてしまうのを取材現場のディレクターやフリーライターたちが当然のことと考えてしまっているのだ。

 これは、テレビ局のプロデューサや新聞社や出版社の編集デスクたちの間にCSRが徹底されてない何よりの証拠だ。

 マスメディアこそCSRが強く問われるべき業界なのに、他人事にしてしまっている。

 彼ら報道現場の人間にこそ「社会起業」とは何かを理解し、学んでもらうチャンスを提供する必要を感じる。

 社会起業家の側もマスメディアに十分に理解されれば、社会変革の仕事がもっと円滑に運ぶはずだ。

 そこで、今年6~7月に社会起業家をメディア・人材などの面から支援するイベントを行うことにした。

 社会起業家を支援したい人は、社会起業家になる人よりも圧倒的に多い割に、自分の能力をどこの
社会起業家にどのように発揮すれば支援できるのかわからない人は多い。

 その力をそのままにしておくのは、もったいない。
 市民の力を結集するうえでも、そういうイベントを学生中心に手掛けてみたい。
 社会起業家の方々にも集まってもらい、必要な支援をその場でヒアリングし、人材マッチングも行いたい。

 関心のある方は、気軽に下記サイトからメールを送ってきてほしい。

http://www.createmedia.co.jp

 メールをくれた方には、イベントの企画書を送る。
 都内でスタッフ・ミーティングを今週から始めるつもりだ。

 さぁ、一緒に本物の社会変革者・社会起業家たちを支援し、この世の中を少しでも気持ちいいものにしよう!




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Author:今一生 con isshow
 ライター・編集者。
 '97年「Create Media」名義で編集した『日本一醜い親への手紙』がベストセラーに。
 '99年に発表した『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行。
 著書に『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)、『下流上等』(学事出版)、『「死ぬ自由」という名の救い』(河出書房新社)など多数。
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