赤木智弘の「論座」の原稿が、ごく一部で話題になってはいる。
ネットでも読めるので、あまりにもヒマを持て余しているようなら、アクビを押さえながら読んでみても罪ではないだろう。
正直、30歳を過ぎた大人の意見とは、まったく思えない。
「論座」が例の原稿を掲載したのは、若い読者を獲得したかったからだろう。
あるいは、「若者思い」の議論好きのおじさんたちにいまどきの若者の嘆きぶりでも読ませたかったのかもしれないが、僕には「こーゆー頭でっかちな奴をのさばらせているから出版不況が続くんだよなぁ。ふわぁーあ」とアクビ混じりの感想を持つのがせめてものリアクションだった。
確かに、現在30歳前後の就職氷河期世代は、雇用の点で割を食った恨みがあるだろう。
しかし、社会情勢というものは、運命ではない。
国にも自治体にも企業にも金が無くなれば、固定費かつ昇給を約束するような正規雇用の枠組みを縮小するのは、自分が社長の立場に立って想像すれば、厨房でもわかることだし、時代状況をふまえずに社会に出た個人まで、世間は守ってやる余裕などないのだ。
もっとも、世間は守ってはくれないが、友人どうしのつながりを大事にしてきた人間は、その友人の輪の中で気付かされる。
「おまえ、理屈っぽいよ。世の中には、自営業者もいっぱいいるんだぜ。雇用にしがみついてたりしたら、自分の好きな仕事なんかにゃ、ありつけないじゃん。こだわり過ぎると、結局は近視眼的な人生しか歩めなくなるから気をつけろよ」
その程度のアドバイスを親身になって彼にくれてやった友人はいなかったんだろうか?
雇用がダメなら自営があるし、自営ならば自分らしく働けばいいだけだ。
自分の持っているわずかな能力をなんとか仕事現場で鍛えていって、経験が蓄積していけば、それなりに食えるようになる。
第一、「論座」に書いて、今後も原稿執筆の仕事が欲しいとなれば、それは「評論家」やものかきといった自営業者を志向してるってことじゃないか。
それを「フリーターでござい」と名乗るのでは、「結局おまえってものかきで食っていくんだっていう覚悟ができてないだけじゃん。甘ったれるなよ」という批判を受けても仕方ないだろう。
資本主義社会ってもんは、そもそも自己責任社会だから、自分自身の職業能力を自分で磨くのが前提だし、能力が足りなかったら経験を積むか、それ相応の学びが得られる学校に通うか、できる先輩を自分で見つけて仕事を覚えさせてもらうか、いくらでもスキルアップのチャンスがあるはずなのだ。
それをいまだに「フリーター」を名乗り、「弱者」を気取るとしたら、その構えは、自分で自分を一般的で抽象的な存在に貶めてしまっているのだ。
自分が何者になりたいのか、どんな技術で人様から金をいただくのか、中卒の大工でも知っていることが、赤木くんにはピンと来ていないらしい。
『下流社会』の著者・三浦展さんなどは「大学教授なんて大学に残るしかできなかった人々」と喝破したが、赤木くんも残念ながら、雇用制度の内側でしか自己規定ができず、自営業者として生きていくという覚悟も勇気も根付いていないようなのだから、こういう厨房につける薬はないのかもしれないねぇ。
2015年には、労働者全体のうち、2人に1人しか正社員になれない時代が来るという未来予測がある。
アメリカでもそうだし、日本でもそうだが、実際年々、正規雇用の割合は減っている。
そうした状況下で、まだ「スキルのない俺を雇って。しかも、女を養って子育てできる給与で」などと主張し続けるとしたら、その甘えぶりこそがキモイ。
だいたい、「金のない男はモテない」などという傾向分析が個別の結婚にどの程度影響を与えるかは、未知数だ。
月収10万で結婚したいなら、経済力ではない魅力を身につけるべきだろう。
そもそも、ビジネスをやらせれば、女性のほうが向いていると思うし、今後は当たり前のように同年齢の年収や貯金額でいえば、女性の方が上回る時代が来る。
そもそも金で支配できるという考え方があさましいのだ。
金に換えられない魅力を持っていれば、女性のほうからいくらでも連絡してくるし、そういうスキルを身につけるのも経験だ。
しかし、おそらく自営にせよ、女性との関係にせよ、新たな経験を積もうという自助努力は、彼のような「自称フリーター」たちには、高いハードルに映っているのだろう。
自助努力を払わない「自称弱者」に対して、ソーシャルベンチャーも支援する気は起らないだろうし、結局彼らは無知と未経験のまま、自分に賛同してくれる人たちの輪の中で心中のように自己評価の低さを温存しながら死んでいくのかもしれない。
雨宮処凛さんも既に自営業者なのだから、赤木くんには「どんどん書いて。いっぱい本を出せるようがんばって!」と応援するのが筋だろう。
あるいは、それこそ会社でも作って、自助努力をしない連中まで雇用してあげればいいじゃないか(笑)。
たぶん、自分が社長になれば、きっとせっかく雇ってあげた赤木くんにムカムカしてくるだろうが、そこで現実ってものを知るのだろうと思う。
戦争なんぞ引き合いに出さなくても、自営もしくは起業すれば、流動性なんていくらでもありうることがわかるだろう。
アジアの貧しい国の子どもたちを支援しながら、まっとうに食っているNPOだってあるし、やりがいを覚えて労働の本当の意味を知るチャンスが、そういうソーシャルベンチャーには豊富にあることも気づくのかもしれない。
しかし、「反貧困」キャンペーンの人たちの目をソーシャルベンチャーに向けさせるのは、きっと至難の業だ。
なぜって?
だって彼らは自分の問題を制度の問題にすり替えたいだけなんだもん。
そう言い続けていられるだけの妙な余裕が、彼らにはあるから。
(実家住まいだったり、仕送りをもらってたりね)
自営業者もソーシャルベンチャーも再生を急がれる地域も、国家や自治体からの援助や政策を待ってる余裕なんかないんだよ。
だから、自律的で具体的なアクションに出ているんだ。
自前でビジネスモデルを作り、自分らしく社会に役立つことで働き甲斐と問題解決法を創出し、「もっとマシな世の中にしよう」と日々動いているんだよ。
東京ローカルのメディアでは「ワーキングプア」が話題だけど、日本のほとんどを占める地方では、むしろ「地域再生」の具体的なアクションが始まっているし、中央官僚たちだってそうした地方活性化に取り組むソーシャルベンチャーをわざわざ田舎に足を運んで取材しては全国の問題解決に援用できるモデルを作ろうとしてるんだ。
もう、デモや集会、シュプレヒコールの時代じゃない。
ましてや、「戦争」なんて言葉を持ち出すような悠長な時代でもない。
「仲間」うちで国や時代状況に対して文句を言い合って若い時間を浪費するよりも、自分にとって本当に必要なのは何なのかを自問するといいだろう。
仕事が無ければ、作ればいいだけなんだし、そのためにも僕は東大の自主ゼミで毎週、ソーシャルベンチャーの若い担い手をゲスト講師に招いているのだから、受講しに来たらいいんだ。
自分より若い20代半ばの若者たちが、世の中を楽しく面白く渡り歩いてビジネスモデルを構築し、元気に働いている姿に触れるといい。
赤木くん、そして赤木くんのシンパの諸君!
だまされたと思って、一度、僕のゼミにおいでよ。
下記リンクのmixiコミュに、今月10日(月)のゼミを告知しておいたからさ。
(※しかも、ソーシャルベンチャーの担い手2名が来てくれるよ。無料だし、誰でも参加できる)
http://mixi.jp/view_event.pl?id=25752862&comment_count=0&comm_id=2040296